異国見聞私書録

異国から見たこと感じたこと気になったこと。そして時折テクノロジーのお話。

これから日本社会で起きうること

すごく久しぶりの投稿になってしまった。世界は目まぐるしく変化して、書こう書こうと思いながらも次から次へと起こる事象に心が捉われて整理できずにいた。

 

【訃報】安倍晋三元首相死去、演説中に銃撃され - GIGAZINE

安部元首相が銃撃され亡くなった。筆者とは全く異なる信条をもった人であったが、痛ましい事件であることには変わりない。
と同時にさまざまに考えさせられる。犯人は宗教団体のメンバーを狙おうとしたと供述しているらしいが、その宗教団体とは統一教会系列らしいことまで伝わってきている。元首相はおそらく支持欲しさに当団体にさまざまな便宜を図っていたことも見えてきている。

公開抗議文 衆議院議員 安倍晋三 先生へ 統一教会 家庭連合

カルト宗教の被害者となった人の復讐心が今回の凶行に走らせたと見えなくもない。そうなると、一口に「民主主義への挑戦」とも言えない、複雑な社会的要素の絡み合った事件であるとも言えないか。

亡くなった者に鞭打つわけではないが、「自己責任」や「自助」を声高に唱えてきた党に所属してきた元最高責任者として、ある意味、最悪の形で行ってきたことの責任を取らされたのかもしれない。

社会下層に余儀なく存在してしまっている人たちにとって、今回の事件はある種の「見本」になってしまうことを危惧する。普通に服を着て、普通に町を歩き、普通の日本人に見える人であっても、内実は経済的に困窮し、心に狂気を抱えている人は増えているのではないか。鬱憤や復讐心を晴らすための「情報」を収集することは、今は昔と比べて格段に容易くなっている。このような人間が増えてくることは、警備や法律をいくら厳しくしたところで防げるものではない。

米国でも英国でもこの手の事件は頻繁におきているが、おそらく近い将来、日本の安全神話は過去に忘れ去られ、彼らと同じ「普通の国」となり下がってしまうことだろう。

 

 もう一つ言及して起きたい。下の二つの記事は一見無関係であるが、おそらく共通項がある。それは日本の国力低下である。

「日本ってもう貧しいんだな」娘抱え働くフリーランスドライバーの生活にも・・・ 参院選争点“物価高”が直撃【報道特集】 | TBS NEWS DIG (1ページ)

KDDIの通信障害についてまとめてみた - piyolog

いくら働いても生活がよくならない状態はこの20~30年すでに続いている。「もう貧しいんだな」でなくすでに貧しかった、そしてこれから円安と物不足は更に貧困に拍車をかけて日本社会に襲いかかってくるはずだ。

社会インフラの不具合も、少し前にあった銀行ATMが使えなくなったことに限らず、通信障害や停電などもこれから頻発するだろう。ここまで復旧に時間がかかるのは、社会インフラ開発にお金をかけられず、メンテナンスできる人も育ててこられなかったことに起因しているところも少なからずあるはずだ。多重下請け問題といった経済構造もそれに関与しているだろう。明確な証拠があるわけではない。ただ過去にかけられていたコストと人員数とその質を比べてみれば、何かしらの相違が出てくると思っている。

同列には扱うには主語が大きすぎるかもしれないが、これと似たような現象を英国で見てきた。産業をアウトソーシングすることで国内産業が衰退し、金融業に大きくパラメータを振った英国の社会インフラは先進国とは思えない。

ただ、彼らのすごいところはそれでもなんとか社会を回すだけのタフネスさがある。たとえコンプライアンスやレギュレーションの縛りがあっても、バカ正直にそれに「従う」ということはしない。交渉と説明を重ね、実情の中で何ができて何がまだできないのか、たとえ違法に限りなく近い状態であっても時間的猶予や例外適用を勝ち取る。行政側もそれを見据えていて、いい「落としどころ」で話を決着させる空気があるように思える。

かたや日本社会は「資格」や「認可」といった権威で細かいところまで縛る傾向がある。厳密なのはよいことだが、どのような状況下でもかたくなにそれを行うようでは、裏目に出てくるケースも多くなるしかない。今の日本では杉原千畝のような人は叩かれることはあっても、称えられることはないのではなかろうか。

おりしも本日は参院選。変化を実現させる候補を選択できれば、あるいは未来は変わるかもしれない。