異国見聞私書録

異国から見たこと感じたこと気になったこと。そして時折テクノロジーのお話。

国葬ではカルトとの決別を表明する場としたらどうか

元首相が銃撃されてから、国会議員と統一教会との関わりが多く問題視されている。特に自民党系議員の多くが統一教会への祝福や賛辞を送っているようで、それを指摘されても未だに一言「関係を断つ」と言い切ることができない。それだけ関係(闇)が深かった、という証拠だろう。

統一教会は言うまでもなく人に迷惑をかける反社会勢力である。ここで反社の定義云々を議論をするつもりはない。人の恐怖心を煽った霊感商法や高額のツボを売りつけることをはじめ、銃撃した山上容疑者の家庭のように取り返しがつかなくなるような金額を寄付するよう仕向ける、問題ある組織であることはすでに明白だ。
筆者が通っていた学校にも、教団関係者主催の研究会やセミナーのようなものを積極的に勧誘していたのを覚えている。当時校内の情報通であった友人から統一教会系のセミナーであると聞いてなかったら、筆者も何らかの被害を被っていたかもしれない。


被害者が昔から多く出ていたにも関わらず、国家の中枢を担うはずの国会議員の多くがこの反社組織と蜜月な関係を持っていたのである。現代において国家公務員や大手企業が反社チェックを行うのは常識であると思っていたが、どうも国会議員のセンセイ方、特に自民党にとっては違っていたらしい。

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自民党は昔から選挙で勝つことにとてもリソースを割いている。選挙活動で有利に立つためには手段を問わなかったのであろう。禁断の果実であるカルトと手を組んでしまう間違いもあるいは犯してしまったのかもしれない。百歩譲って、過去においてオーム真理教団の起こしたテロ行為や、カルトをのさばらせると社会混乱を招くと多くの事例を知りながらも、それでも判断を誤ってしまったのかもしれない。

であるならば、すぐにでも過ちを認め、関係を断ち切ることを宣言していただきたい。そして国民の益を阻害するカルト集団を規制する法案の立法を直ちに進めるのが本来、国会議員の務めではないだろうか。暴対法や共謀罪などは成立させながらカルト規制はできない、などという言い訳は聞きたくない。本来であればとてもシンプルなことだ。

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ところが現実は関係を断ち切ろうとするどころか、言葉を濁し、カルトとの関係はそのままにしてスキャンダルをうやむやにしようとする動きがあまりにも多すぎる。つまりたとえ裏で被害者が出続けようとも、カルトのサポートを受け続けることを優先したい、あるいはせざるを得ないらしい。「関係を断ち切る」とは言えないのだ。

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またカルトとの関係があまりにもズブズブだったため、「関係を断つ」という宣言はある意味、「踏み絵」となっているとみるべきだろう。あの手この手のさまざまな醜聞がこれから教団側から「脅し」や「見せしめ」としてリークされるのは想像に難しくない。

反社会勢力と関係を持つというのはこういうことである。回りまわって最終的に関係を持った自分にブーメランは炎上しながら戻ってくるのだ。銃撃された元首相は痛ましい事件ではあったが、ある意味それを身をもって体現してしまった。

カルトと関係を持っている議員はこれから胆力を試されるはずだ。すべてが元首相のような最悪なかたちで具現化するわけではない。だが、関係を続けようと続けまいと何らかのかたちで「痛み」を伴うものとなるのはほぼ間違いない。

どうせ「痛み」を経験するのであれば、せめて少しでも国民への「利益」となる形で「痛み」を被ってはどうか。それはカルトとの強固な決別表明であり、カルトを規制するルール作りを誓うことである。それによりカルトからの報復は免れないかもしれない。だが、カルトと戦う姿勢を継続し、国民を味方にし続ければ報復はいずれ物理的に困難になる。カルトを非合法化し霊感商法という資金源を断てば、カルト活動は下火にならざるを得ない。カルトと仲良く選挙をするのではなく、喧嘩別れする方向で票を稼いだらどうか。賛否はあるが以下のように不可能ではないはずだ。

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元首相の国葬を行うことに数多く疑問はあるが、「民主主義への挑戦」とそれへの断固たる抗議とするのではなく、もし「カルトからの決別」を表明する場にするのであれば全て反対はしない。人を騙し生活を破壊するカルトを一刻も早く政治と社会の場から引き離すルール作りを望んでやまない。