異国見聞私書録

異国から見たこと感じたこと気になったこと。そして時折テクノロジーのお話。

イノベーションの期待という仕打ち

この記事には多くの部分で共感できた。 と同時にAppleはイバラの道を歩まされているとも思う。

これ以上、iPadに期待できないのか?
http://www.ipadmod.net/2013/11/%E3%81%93%E3%82%8C%E4%BB%A5%E4%B8%8A%E3%80%81ipad%E3%81%AB%E6%9C%9F%E5%BE%85%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%AE%E3%81%8B%EF%BC%9F.html

iPhoneやiPad、MacBook AirといったGame Changer製品を多く生み出したAppleは常に期待以上を人々に期待されてしまう。そしてその多くはSteve Jobs氏が手がけてきたものだった。彼が亡くなってから正直言うと、既存製品の「改良・強化」にとどまっているかと思う。いわゆる「持続的イノベーション」が連続し、「モノの定義」を変えてしまうような「破壊的イノベーション」が欠如したまま現在に至っている。

既存デバイスの定義を「破壊的イノベーション」で次々に変えてきたSteve Jobs氏の手腕は本当に凄かった。通常、企業が「破壊的イノベーション」を起こすということは、リスクと常に表裏一体で、下手を打てば一発で会社ごと傾きかねない危険な賭けを行なっていることにも似ている。そのリスクをモノともせず、次々に革新的な新製品を産み出してきた彼はやはり天才だったのだと思う。

その天才を失った今、Appleはこれまで培ってきた「資産」で持ちこたえている。だが、さまざまな苦悩が見え隠れする。iTVやiWatchなど表に出てきては隠れていくことがその証左ではないだろうか。今のCEOは消費者の「破壊的イノベーション」の期待という名のプレッシャーで相当つらい立場にあるのではないだろうか。先代が凄まじかったばかりに当代が苦労するのは珍しい話ではない。

人々の生活を変えてしまうような次の「一手」というものはそう簡単に編み出せるものではない。今あるニーズではなく、先の見えない次のニーズを掘り出すようなものだから。「顧客は自分の欲するものをわかっていない」からAppleは市場調査をしない。しかし、それは本質を見通せる一握りの人間にしかわからないことなのだ。今のAppleは秀才だが、天才としての影は薄いように思える。消費者がいつも「破壊的イノベーション」をAppleに期待するのは少し酷な仕打ちにも思えてしまう今日このごろ、そして明日。