異国見聞私書録

異国から見たこと感じたこと気になったこと。そして時折テクノロジーのお話。

もう少し上手な言い訳を考えてください

 あまりにも呆れた発言が多すぎて、日本は近代国家ではなかったのでは?と疑いたくなる状況になってきている。別の話題でエントリーを書いていたが、今回は急遽こちらについて書いておきたい。

 以前に日本は法治国家を放棄し始め、ある特定の組織や人物がルールを決めていく「人治国家」を目指していることを述べたことがあったが、今回の件でさらにその思いが強まった。

 党の方針を考慮した上で参考人の意見を聞くなど出来レース以外の何ものでもないし、改憲議論を深めようとする姿勢すら感じない。現行憲法を踏まえて法案を考えていくことが本来取られるべき順序と手続きであるが、憲法を法案側に適用させようというのは、はっきり言って凄まじい脳内イノベーションですよ。起業家にでもなったらどうですか?失敗すると思うけど。

 立法府にこのような人物たちをおいてしまっている、このありさまをよく見つめなおさなければならない。これは憲法談義をする、はるか以前の問題だと思うのは筆者だけだろうか。

 

 おそらく彼らに去来する想いは、表面的によく宣っている、日本を強い国にしようとか、美しい国にしようといったことでは全くない。自分たちに都合の悪いルールは勝手に破り捨てて、自分たちのやりたいようにやらせろ、自分たちの言うことに従え、という幼稚で短絡、かつジャイアンもびっくりな暗愚っぷりである。なぜなら反対意見を持った、(たとえ重鎮であったとしても)たった3名の参考人から指摘されただけでこの慌てふためきようで、その上、その人たちの話など聞く気など毛頭ないからだ。

 

 この状態が続けば間違いなく人治国家から蛮族国家へと派生していくだろう。戦争をする/しないの問題以前に、一部の輩が決めるルール上では人命の重さは軽減せざるを得ないからだ。自分たちの命の重さを一番重くし、他者の命はそれと相対的に軽視する傾向にならざるを得ないからである。国の中枢機関がその方針や姿勢を持つならば、それに連なる組織や人物が右にならっていくのは間違いない。国民として末端に位置する人たちは、現在以上に「モノ」として扱われていくことは想像に難しくない。

 

 筆者の知る過去の政治家たちは、汚くはあったがここまで愚かではなかったと思う。もっと上手に国民をたぶらかしていたし、気の利いた一言で紛いなりにも幕引きができていたように記憶している。「昔はよかった」という老人の戯言ではないが、「人選」とか「歪んだ法適用」ではなく、せめてもうちょっと頭を使った政治をしてみませんか。