異国見聞私書録

異国から見たこと感じたこと気になったこと。そして時折テクノロジーのお話。

未熟な組織と社会

旧日本軍による性奴隷はなかったとする人たちの話が信用おけないのは、たとえ味方であってもこのような事件を起こすからだ。

【前編】22歳元女性自衛官が実名・顔出しで自衛隊内での「性被害」を告発 テント内で男性隊員に囲まれて受けた屈辱的な行為とは(1/5)〈dot.〉 | AERA dot. (アエラドット)

不幸中の幸いと言うのは憚れるが、これ以上の事件にエスカレートしなくて本当によかった。それでも「腰をつかまれて“バック”のような体制にされて腰を振ってくる」という屈辱以外の何物でもないことを後輩の女性隊員に平気で行い、自衛隊の中でも組織的な隠蔽があった疑いが濃厚だ。

味方の後輩女性に対してでさえ、この有様だ。味方さえも一人の人間としてまともに扱えない。ましてや仮に将来日本の自衛隊が(その時は自衛軍かシン日本軍になっているかもしれないが)どこか他国へ「進駐」するようなことになったらどのような残酷かつ屈辱的な行いを与えようとするのだろうか。

もちろん自衛隊員のごく一部がこのような低俗なモラルで行動していることは重々承知している。だが憲法を変え、海外派遣できるようにしたいのであれば、ほんの一部であってもこのようなセクハラに対して厳罰を持って望まなければならない。ましてや組織的に隠蔽しようとする動きがあるのであれば、旧日本軍と行っていることは変わらない。このような組織をかかえる国をどこが信用置けるというのか。

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以前にも書いたが、性奴隷や虐殺などの組織だった残虐行為の証拠はほとんど残らない。そのような状況下では、証拠は徹底的に隠滅される。それゆえ「証拠がない」という言い訳は制度化された犯罪の下では意味をなさない。

いまだに組織的な隠蔽体質を面々と引き継いでいたのであれば、やるべきことは、外部公的機関による自衛隊内の徹底調査であり、性犯罪や差別に対する教育と周知、そして厳罰化する立法だ。それができて初めて憲法に対する議論のスタートラインに立てるのではないか。

性犯罪をまだまだ許容する段階にある日本社会。無理に背伸びしたところで過去と同じ過ちを繰り返すだけだ。