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異国見聞私書録

異国から見たこと感じたこと気になったこと。そして時折テクノロジーのお話。

英国は明日、国民投票です

 どこのニュースでも取り上げられているので、あえてリンクは貼らないが、明日はいよいよ英国がEUから離脱するか否かを決める国民投票が行われる。筆者は英国民ではないので当然ながら投票権はないが、この投票結果にはかなり注目している。

 今のところほとんど両勢力ともに拮抗しており、各種調査によれば、その差は1%ぐらいでわずかに離脱派が優っている。もしEU離脱が実現すればどのような影響が出るのか、正確なところはわからないが、いつもながら筆者の得意とする悲観的な視点から妄想を書きつらねておきたい。

 

 そもそもEUの基本理念として、欧州における互いの国々が、二度にわたる大戦を経て、再び戦争できないような仕組みを構築したいという希望からはじまったと聞いている。だが、BBCなどで行われている街頭インタビューなどを見ると、経済問題や移民問題が大きく取り上げられているが、「互いに争わない仕組み」という原則に着目している人は少ない。結局のところ目の前の問題のほうが大きく膨らみ、その背後にあった基本理念は薄れてしまっているかのようだ。

 基本理念が現実の彼方に忘れ去られていけば、ある意味、タガが外れることになる。おそらく英国が離脱すれば、ほかの独立したい地域や小国はそれに触発され、あちこちで独立機運が高まると予想できる。英国内でもスコットランドはついこの間、独立を巡って国民投票をおこなったばかりだ。この先、再度行われないという保証はどこにもない。

 地域や国が分裂していくことで、近視眼的に見れば、その国益は増加するかも知れない。自国に注力した国家運営をすればよいのだから、短期的には利益があがる可能性は高い。ただ、長期視点では必然的にその利害は他国と衝突する。すぐに争いが起きるということはほとんどないだろうが、長い目で見た場合、小競り合いの頻度は徐々に多くなって行くことだろう。

 そしてもうひとつ注目しておきたいのが米国の動きだ。米国の大統領がもし暴言と憎しみを煽る人になったとすれば、世界で起きる小競り合いを止める手段はなくなったと見るべきだ。むしろ小競り合いを煽り、大炎上させるほうが得意な人なのだから。

 調停役が不在のまま、火種を抱える地域が増えれば、一次大戦のきっかけとなったようなような「事件」から大きな戦いにつながる可能性は高い。しかも今度の戦いは、人がドンパチやるような戦いではない。怒りと憎しみと残虐性の特徴量をふんだんに叩きこまれた人工知能によって操作された兵器が、無慈悲に戦線を拡大させていくことは間違いない。・・・話が飛躍しすぎた。

 

何はともあれ、英国国民は目の前に問題に注目するだけでなく、過去に立ち返って未来を見つめて欲しい。なぜEUという共同体が過去の人たちが創りあげたのか、その理念を見つめなおした上で投票して欲しい。異国の人が増えて、仕事は奪われ、住みにくくなったかも知れないが、それは弊害だけなのか。本当に恩恵を受けたことはないのか。

 光と影が両方あるにせよ、今の地位に英国があるのは「EUに加盟している」という姿勢が一因であるのは間違いない。これを低いと見做すか、高いと捉えるかは明日の投票次第である。