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異国見聞私書録

異国から見たこと感じたこと気になったこと。そして時折テクノロジーのお話。

経済徴兵への兆し

thinking politics

twitterを眺めていたら、興味深いリンクが流れてきた。

学生への経済的支援の在り方に関する検討会(第11回) 議事録:文部科学省

米国では、たとえ自己破産しても奨学金の借金は消えないときく。この議事録によると英国でもそれなりに厳しいらしいが、残念ながら筆者は調べたことがなく、本当の実態はよくわかっていない。だが、日本は各国の中でもかなり優遇された奨学金制度なのかもしれない。

ただ、この議事録の注目点はそこではない。「前原委員」という人が述べている一節に注目してほしい。

今,労働市場から見ると絶好のチャンスですが,放っておいてもなかなかいい就職はできないと思うのです。前も提言したのですが,現業を持っている警察庁とか,消防庁とか,防衛省などに頼んで,1年とか2年のインターンシップをやってもらえば,就職というのはかなりよくなる。防衛省は,考えてもいいと言っています。

警察庁や消防庁の中に混ぜているが、下記のように二度も言及していることから、防衛省を主眼に「就職支援」を絡めていきたいのは一目瞭然だ。

防衛省は,2年コースを作ってもいいと言っています。

米国では貧困地域の学校で、兵隊リクルートが盛んであるときく。以前にも触れたが、体験入隊なども盛んに行い、入隊すればクラスメートの羨望を集めるような広告展開をしている。 貧困地域の学校だけでなく、大学への奨学金をちらつかせた入隊勧誘も多く行われている。いわば「活きのイイ兵士」の青田刈りを行っていると見て間違いない。これも経済徴兵のシステムの一面である。

解釈改憲が閣議決定されたそばから、こうした発言が登場しているのは決して偶然ではない。戦闘に直接従事しなくとも、戦場での危険作業に従事できる環境を着々と、かつ早急に整えている様子がここから窺える。何度も繰り返すが、いわゆる「徴兵制」を法によって制定をする必要など全くない。国民が自ら進んで兵役に向かえるようなシステムさえ作っておけば、法整備など無用なのである。そこを見間違えるとことの本質が全く見えなくなってしまう。そして経済徴兵システムのキーワードとなるのが「貧困」である。

貧困状態に人を追い込んでおけば、たとえどのような仕事であろうとほとんどの人は飛びつく。貧困状態にしておけば、先のことを考える冷静な思考など即座に奪える。貧困と失業状態にある者には「就職支援」と書かれた看板がひどく眩しく見えることだろう。

企業のグローバル化、ブラック企業/組織がほぼ野放し状態になっていること、ホワイトカラーエグゼンプションの導入案、大企業経営者たちの収入が増加、反対に末端従業員たちの困窮状況など、一見すると別々の事象に見えるが、おそらくこのシステムの一環と無関係ではない。昔は多重債務者の行き着く先はマグロ漁船と話には聞いていたが、今後日本も主流は戦場へと移って行くだろう。

 

大々的に戦闘行為を行うには莫大なお金が必要であり、そして同時にそれは流動する必要がある。戦場にお金が塊として存在するものではない。戦争ビジネスをするものたちにとって大切なのは、大規模なお金が動くことにあるのだ。もちろん石油などの「後にお金として動かせる」資産が眠っているのであれば尚いい。少ない費用で大量の人を雇い、大きな戦いで多額の費用を動かせればこの上ない商売となるだろう。このヤマに一枚噛みたいと思っている輩は日本にも必ずいる。

「前原委員」という人は経済同友会のエライ人のようだ。どのような発想からこのような発言につながったのか、背後にどのような組織が存在するのか、できるのであれば資金の流れなども調べられたら、興味深い関係が出てくることはほぼ間違いないだろう。

これから防衛関連産業に「就職支援」する流れは他でも必ず起きてくる。今回のは前哨戦にも満たない。関連する外郭団体も数多く登場してくるはずである。困窮状態にあっても目の前にある美辞麗句を鵜呑みにせず、どういう背後関係があるのかつぶさに見ていく眼力と胆力が問われてくるだろう。どこまで持ちこたえることができるのかはわからないが。