異国見聞私書録

異国から見たこと感じたこと気になったこと。そして時折テクノロジーのお話。

「居酒屋甲子園」に漂う不安

twitterをながめていたら、「居酒屋甲子園」なる言葉が目についた。NHKのクローズアップ現代でも放映したらしい。

あふれる“ポエム”?! ~不透明な社会を覆うやさしいコトバ~
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3451.html

居酒屋甲子園に関する動画も探してみたらすぐにYoutubeで見つかった。ここではリンクは敢えて貼らないが、検索すればすぐに見つかると思う。見た後の個人的な感想を言わせてもらえば、えも言われぬ「気色の悪さ」を十分過ぎるほど味わえた。少し前に外食産業などであった、「特殊な社員研修」の延長線上にある「ブラックな感じ」がそこには存在していた。

この「甲子園」を見て、「餃子の王将」の店長研修を思い出した。これもYoutubeで検索をかければいくつか見つかると思う。それは徹底して自己批判をさせ、皆の前でこれまでの自分を絶叫しながら反省させる。最後に専務(今は新社長?)が社員を抱きしめ、「許し」を与えるのである。その一連の映像がどうにも「居酒屋甲子園」と重なりあう。

言うまでもないが、「餃子の王将」の前社長は何者かに射殺された。「射殺」という死に方は現代日本において極めて珍しい死であり、どんなに頭が悪くとも背後にブラックな社会の存在を考えずにはいられないだろう。しかも餃子の王将の労働環境はとても悪いとも見聞するし、やはり「ブラック臭」が漂ってくるのである。

「居酒屋甲子園」を取り巻く支援組織にも目を向けてみよう。ビール会社やグルメ雑誌などが協賛しているのがサイトの左半分から知ることができる。当然ビール会社などはビールを売りたいがために名を載せるのはおかしくない。雑誌とて広告収入目当てだろう。ここまではよい。問題は「SOKOJIKARA NIPPON」というよくわからないロゴを配布している組織である。「底力ニッポン運営委員会」なるものが運営を行なっているらしいが、代表者や運営委員の顔ぶれが全くサイトから伺い知ることができない。Google先生に聞いても出てこない、かなり謎のサイトなのだ。メールによる問い合わせは可能なようだが、麗しい言葉の裏に何か得たいの知れない存在を感じずにはいられない。

まだある。外食産業だから当然と言えば当然なのだが、渡邉美樹氏が協賛している組織がこの一覧の中に存在する。これも言わずと知れたブラック企業知名度No.1「和民」のかつてのトップである。さらに辿ると、渡邉美樹氏の組織を共催している組織の中には日本財団という組織も見受けられる。この組織の光と影についてはここで今更言うつもりもない。

 

徹底した興奮状態の中で人の思考力を固着させ、それに対する承認欲求を擬似的に満たすことを有り体に言えば「洗脳」というのではないだろうか。

洗脳は日常の多くの場面において行われている。今こうして書いている文章もある意味、筆者がこれまで受けてきた「洗脳」の結果なのかも知れない。もし「居酒屋甲子園」などと違いがあるとしたら「異」は「異」として受け入れる認識とその余地の有無ではないだろうかと思う。勝手な想像だが、もし「居酒屋甲子園」で輪を取り乱す空気を読めないメンバーが混ざったとしたら、彼らはどのように振る舞うのだろうか?もし彼らがこのブログを読んだとしたらどんな想いを持つのだろうか?

もし人格や仲間を否定された気持ちを強く持ったとしたらそれは危険信号である。物事を多面的に見られなくなってきている兆候と言い換えてもいいだろう。そして保証してもいい。その一面的なモノの見方は明日になれば必ず「ブラックな者たち」に利用されることを。いや、今日もすでに利用されているのか。