異国見聞私書録

異国から見たこと感じたこと気になったこと。そして時折テクノロジーのお話。

「今の東京にあなたが極めて不適任な都知事だと思う」理由

田母神氏は危険人物のレッテルが貼られているらしいが、多分そのようなことはあまりない。ただ、著しくインテリジェンスを欠いている人物であり、好ましくない組織が背後にいることは類推できる。

「今の東京には私が極めて適切な都知事だと思う」田母神俊雄氏が出馬会見
http://blogos.com/article/77428/

田母神氏はきっと悪い人ではない。きっと一緒に酒を呑めば楽しいオヤジさんだろうし、酒の肴に彼と国防論を展開するのも興味深いだろう。個人的に隣人として付き合うには決して悪くはないと思う。だが、政治を任せられる人物かというと大変疑わしい。彼には自分の信念から暴走した経歴を持つ。

KY空幕長の国益空爆 不用意な情報発信は危機管理意識の死角から
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20081104/176177/

このリンクは田母神氏の問題点が大変よくまとめられており、時間があればユーザ登録して是非一読することをお勧めする。

持論を持たない都知事も問題だが、持論を展開しすぎる都知事も同様に問題だ。世の中が非常に複雑化している今、知事の意向だけで物事が動くと思われては困る。そして物事が「動かない」とわかった時、「暴走して動かそう」と試みられてはもっと困るのだ。残念ながら彼にはそのように振舞う「素養」があると過去の言動をみれば言わざるを得ない。またこれら行った言動に対し、反省や後悔の念は現在も持ち合わせていない様子から「過去の行いから学んでない」と見られても仕方ないだろう。

これは別問題の部類に入るが、彼の支援している組織にも問題がある。例えば日本維新の会の綱領には以下の一文がある。

日本を孤立と軽蔑の対象に貶め、絶対平和という非現実的な共同幻想を押し付けた元凶である占領憲法を大幅に改正し、国家、民族を真の自立に導き、国家を蘇生させる。

日本はいつから「孤立と軽蔑の対象」になったというのだろうか?冒頭に「日本を」と書いてあるということは、考えるに国同士の関連性から、世界的な視野から、日本は「孤立と軽蔑の対象」としているのだろう。だが少なくとも私の暮らす周囲では一切そのようなことはない。もしそのようなことがあれば、海外ですでにビジネスはできなくなっているはずだし、今頃異国の地から追い出されているだろう。

次に「絶対平和という非現実的な共同幻想」な憲法とあるが、少なくとも人類として「絶対平和」という目標を淡い幻想でもいいから持たないで何を持つというのだろうか?平和の対義語は「争乱」や「戦争」を思いつくが、「絶対争乱」な状態から国を自立と蘇生に導くとでも言うのだろうか?私の知る範囲では、争乱が続いている国で「自立と蘇生」した例は皆無だ。

このように本人とその支援組織にも問題があるような立候補者を「都知事に適切」とは到底言い難い。田母神氏には申し訳ないが、昨日の振舞いから今日の言葉まで、問題を抱えながら明日に知事として人格が突然変わる確率は天文学的に低い。出馬取りやめをぜひとも考慮していただきたい。