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異国見聞私書録

異国から見たこと感じたこと気になったこと。そして時折テクノロジーのお話。

「残念な国」への進捗

 筆者は日本の新聞、テレビをほとんど見なくなって久しい。ここ数年、情報源は異国のメディアに頼ることが多い。日系店舗やその待合室に置かれている新聞にざっと目を通すことはあっても、じっくり読むことはほとんどなくなってしまった。

米記者から「出来レース」批判された安倍首相国連会見 - iAsia

 ある程度、その論調に偏りがあるのは仕方がない。人間が発行しているかぎり完全な中庸を実現することなどありえないからだ。保守的もしくはリベラルな新聞であろうと、発行する新聞の中に自分たちと異なる主張を持つ記事を少しでも織り交ぜてあれば、御の字と見るべきだろう。ことの問題はこのようなところにあるのではない。

 

 ジャーナリズムがエスタブリッシュメントと口裏合わせをやり始めたとき、それは報道の死を意味し、知る権利をないがしろにし始める兆候である。今回引用したリンク先の記事が事実であるならば、もう日本のメディアは「オワコン」を意味すると思う。

 これは別に日本に限った話ではない。現に記事の中には異国の大手メディアも「出来レース」に参加していた節もあるし、それでエスタブリッシュメントとの関係が良好に保てれば、食いっぱぐれることはないと思ったのだろうか。このようなメディアは、自分たちの首を真綿で締めていることに気づいていないことを、自分たちの暗愚さを、将来呪うこととなるだろう。

 

 ここで見逃してはならないのは、異国のメディアで「予定外」の質問をしているところがあるということだ。筆者は日本の新聞は読まなくなったが、記事に出てくるNPRは筆者もよく聞くラジオ局である。iPhoneのアプリでも配信しているので、英語のリスニング/リーディングの強化がてら、一度試してみることをお勧めしたい。

NPR One

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NPR News

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 NPRはリベラルな論調が多いメディアだと批判も少なくないようだが、多くの国の政府やメディアが保守に偏りつつあるなかで、比較的中立を保てている方だと思う。何より、今回の件では「予定外」のツッコミ方をしていることにも好感が持てる。というよりこれが「普通」の報道姿勢であるはずが、日本のメディア関係者があまりに「歪」な姿勢を取っているのである。

 

 少なくともここから見えてくるのは、日本のメディアはエスタブリッシュメントの事前承認なしにはニュースを配信できなくなっているという事実だろう。ほぼ完成した報道統制が敷かれている状態であり、本当に欲しい正確な情報は伝わらなくなっている。

 そうした状態にあってより事実に近い情報を取りに行くのは、自分からでき得る範囲で、より信用できそうなソースを、アンテナ感度をよくして探して行くほかはないだろう。記事にあるようなちょっとした、事件とも言えないような「さざ波」がその手がかりを与えてくれるように思う。さざ波さえ起こせないようなメディアはもう死んでいるも同然なのである。

 

 原発事故のときもそうであったが、事実が国内からではなく、外から伝わって来るという現実はなんとも残念なものを見たときの気持になる。それは自分自身を客観視できなくなって、盲目と激しい思い込みで突っ走る「残念な人」を見たときの心情と似てなくもない。こうした「さざ波」が世界に伝わるにつれ、日本は「残念な国」として捉える人々が世界に少しずつ増えている気がしてならない。