異国見聞私書録

異国から見たこと感じたこと気になったこと。そして時折テクノロジーのお話。

野球と武士道?それって食べれんの?

 なんだろう、「目に余るゴーマンぶり」という言葉をそのままこの新聞社に返したくなるような記事だ。よくもこんな低俗な駄文をまじめに掲載して、新聞業を続けられるものかと、ほとんど感動に近いものが胸に去来する。

【スポーツ異聞】目に余る米国球児のゴーマンぶり! 派手なガッツポーズは五輪に相応しくない(1/3ページ) - 産経ニュース

 武士道と野球を絡めて語るところもイタさ満載だし、日本古来からの精神とされる武士道をあたかも世界で通用するかのように書かれているところも頭の悪さをいかん無く露呈している。武士道と野球の区別もつかなくなったのか、と見紛うばかりのカンチガイっぷりだ。

 礼節を語るのであれば、野球のルールと慣習に基づいての範疇で語るべき事柄のはずが、話はなぜか「武士道」にぶっ飛ぶ。論理の飛躍というか、話をごちゃまぜにしているというか、翻訳サイトに直訳をさせたときの意味不明な文字が並べてあるだけのような文章だ。本気で圧縮新聞の記事をコピペして掲載したほうがよほどマシかと思う。

 筆者は武士道の精神を否定するつもりは全くない。それはそれで立派なものだと思うし、尊重もしたい。ただ、何事もそうであるが、間違えた文脈や場所で語るものでは決してない。武士道の精神は武士道を求められる場面で必要とされるものだし、それ以上でもそれ以下でもない。野球に必要とされるのは野球のルールを守ることと、野球に求められる礼節の文脈で語られなければおかしい。それを強いて武士道の文脈で語るのは、バットを刀に持ち替えて野球をするのとあまり変らないのではないか。つまりはストーリーして成立しえない文章の書き方なのだ。

 

 保守派新聞の一角を担っているはずの3K新聞であるが、こんな駄文を書く側も、この意見に賛同している人たちがいるとすれば、自分の頭の中身をぜひ再度確認して欲しい。いや、どちらかというと精神や神経科の先生に見てもらうほうをおすすめしたい。それほどこの意見のネジはどこかハズれている。

 筆者が個人的に思うのは、この新聞社にもう記者や論説委員は必要としない。とっとと人工知能に記事でも書かせたほうがよほどマシな記事が生成できるし、コストもかからないだろう。

 

 ストーリーとして成立しないはずの物語を無理矢理押し通そうとする姿勢は、この新聞社をはじめ、ここのところ日本のエスタブリッシュメント層で多く見られる現象だ。これはとても歓迎できる事態とは言いがたく、自分の愚かさを自覚できていないと同時に、その愚かさを世界に配信しているという、二重の意味で武士道からかけ離れている行為である。・・・おっと、おかしな文脈で「武士道」を引用してしまったが、どこかの新聞社の得意とする「論理の飛躍」が感染ってしまったようだ。気をつけなくては。