異国見聞私書録

異国から見たこと感じたこと気になったこと。そして時折テクノロジーのお話。

イスラエルが行っていること、そして日本が行おうとしていること

これはもう一方的な虐殺と言って良いレベルだと思う。

ガザ:死者400人超える…戦闘激化、医療態勢は崩壊寸前 - 毎日新聞

 

現在住んでいる英国には多くのユダヤ人がいる。土曜日に彼らはシナゴーグへ集まり、祈りをささげたり、同胞と情報交換をしているようだ。独特の黒い衣装に帽子をかぶった姿を見れば、すぐにユダヤ人だとわかる。シナゴーグの中に入ったことはないが、とてもおだやかに時間が過ぎているのだろうと想像する。

ユダヤ人はとても優秀で礼儀正しい方が多い。近所に住んでいるユダヤ人のほとんどは、「Dr (博士号)」取得者だ。教育の大切さを理解している方も多いと聞く。深いかかわり合いを持ったことはないが、挨拶の仕方やその振る舞いを見るにつけ、おだやかな思考と冷静な視点を持ち合わせていると推察できる。今、イスラエルが行っているほぼ一方的な虐殺と、この近所に住んでいるユダヤ人を同列に考えることは間違えだ。しかし、一方で殺戮を繰り返しているユダヤ人がおり、他方で穏やかな人たちがいるコントラストに気持ちが乱れるのも確かである。

 

PressTV - Mothers of all Palestinians must be killed: Israeli MP

ここに登場する女性はすべてのパレスチナ人を根絶やしにするつもりらしい。戦える「兵力」だけでなく、兵力を「産む」母親も攻撃の対象だと堂々と述べている。この女性は自分の言っていることが何を意味するのかわかっているのだろうか?記事の最後にある、「ヒットラーのメンタリティとどう違うのか?」と問いかけている人がいるが全くそのとおりだと思う。かつて自分たちがされたことを他民族に対して、同様のことを行おうとしているのだ。彼女は極右的な考えを持つ組織に属しているとはいえ、公的な立場に付いている人のようである。なぜこのような残虐発言ができるのか、彼女の精神構造や社会背景を詳しく知りたいものである。

イスラエルの軍事力はすさまじい。それはイスラエルで開発されるITを見てもわかる。数年前にはよくIT関連の製品やサービス紹介のカンファレンスに出席したが、その中でもイスラエルの製品は、際立って興味深いものが多かった。技術の着眼点が秀逸で、その上、ベンチャー企業が育ちやすいよう国を上げて支援しているのだという。軍事技術の応用から生まれた民生技術、そしてまたその逆も同様に採用されていくのだと想像できる。

パレスチナが彼らに勝てる要素は限りなくゼロに近い。兵力、軍事技術、資金力、そしてそれらをエコシステムとして回していく組織力、そのどれをとってもイスラエルに勝るものはない。パレスチナは追い込まれている環境下にある。これが何を意味するかと言えば、全てが一方的に行われるということだ。紛争という言葉すら当てはまらない。なぜなら戦力の彼我に差がありすぎて勝負にならないからだ。だからイスラエルの人は以下のリンクにあるように「歓声」をあげられるのである。

Israelis Cheer Gaza Air Strikes (VIDEO)

彼らは軍事技術の実験場として、パレスチナ地域を扱っている一面もあると思う。ネット上で「閲覧注意」の画像が出回るほど、兵器の威力が証明されていく。ほとんどの人にとっては目を背けたくなる光景だが、戦争ビジネスをするものたちにとっては「生のデータ」なのだろう。イスラエルの地上軍も派遣されているようだが、戦闘員のほかにも「実験結果」を集める調査要員も混じっているに違いない。

そうした狂気のビジネスに日本も首を突っ込もうと企んでいるらしい。

イスラエルへの武器輸出可能 新原則案で政府見解 - 47NEWS(よんななニュース)

イスラエルとパレスチナの争いを諌めるのや止めるのでもなく、一方的虐殺を行っている側に加担しようとしているのである。集団的自衛権を認めるというのは同時に「加害者」になる可能性も肯定したということだ。「積極的平和主義」というのは「他人から恨みを買う」可能性を否定しないということだ。日本がイスラエルを認め、武力加担するのだとしたら、それは勝手に「テロリスト」認定したものを虐殺、根絶やしにしても構わないという方針を今後取る可能性があるということではないか。イスラエルと日本の間の距離は遠いが、マインドがシンクロしつつあると見えるのは筆者の勘ぐり過ぎであろうか。