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異国見聞私書録

異国から見たこと感じたこと気になったこと。そして時折テクノロジーのお話。

テクノロジーの利用だけでは投票率は伸びない

thinking politics

 英国の選挙も大阪の選挙も終わった。いろいろと思うところがあり、種々雑多なブログや記事を見て自分の考えと照らしあわせている。以下のブログは途中までの内容はなかなか興味がそそられたが、結論への導き方が今ひとつ納得できずにいる。

 低投票率の底上げ議論はよく話題になることであるが、技術の進歩をいくら適用したところで投票しない人はしないだろう。人は自分の興味がないことや見たくないものはいくら技術を適用しても利用することはない。

 現役世代は忙しさを理由にして投票に行かない人も多いようであるが、これは本当に忙しくていけない人も確かに多いだろうが、忙しいことを口実として投票に「行かない」人も決して無視できないぐらいいると思う。

 

 上記のブログの解決法で何よりも問題なのは、投票にマイナンバーや顔写真を使用した本人確認をしているところだ。投票行動とナンバーや写真を紐付けるのは、候補者の誰に投票したかが一目瞭然となり、個々人の思想に関わる問題に発展することは間違いない。

 ことの是非はどうあれ、投票に「行かない」自由も当然保証されて然るべきだし、白票を投じる自由も保証されなければならない。こうした自由も、マイナンバーと顔写真が投票行動と関連づけることが可能なことからも、侵害される可能性は極めて高い。ちなみに筆者は投票しないことや白票を投じることに否定的な立場を取っているが、それでもその自由を保証しなければ、投票行為そのものの自由を奪うことと同義だと確信している。

 個々人の投票行動の詳細を秘匿化することは、自身の健康状態や病歴をプライバシーとすることと同じぐらいに大切なことなのだ。

 

 低投票率の底上げ案として一つ提案したいのは、平日の投票日を設けることである。不在者投票は異国に住んでいる筆者もこれまで数回行ってきたが、いまいち自分のテンションを盛り上げられないでいる。周囲の人が投票に行く姿を見ることで、自分の投票行為に対するモチベーション付けにつながることもあるのではないかと最近では思う。人混みや長い列があると人は一般的に惹きつけられるが、それと同じように投票所に人が多く集まれば、投票率はわずかばかりでも上昇するのではないだろうか。

 これには平日投票が効果的だと思う。数時間の遅刻早退や勤務時間中でも投票に行くことを許可すればずいぶんと投票率は上がるはずだ。企業側にも社員の投票行為に対してインセンティブを与えるような仕組みを用いれば多くの人が参加するのではないか。自分の住む社会に関心のある社員に対してインセティブを与えるという行為は決して悪い結果は招かないと思うがどうであろう。こうした取り組みをしている企業に対して、政府は法人税を少し下げるという工夫もあっていい。「競争力が下がるから」という曖昧な理由で一律に下げるよりはよほどマシな政策である。

 そもそも休みモードにある土日に投票所を訪れよというほうが無理がある。テンションを落ち着けたい時にわざわざ出かけて投票するのはある意味、理にかなっていない。仕事でエネルギーを燃焼している延長線上にこそ投票日を持ってくるのが最も投票行為を促せるのである。

 平日投票は米国も英国も行っている。何も珍しいものではなく、過去事例も豊富にある。何より引用したブログのやり方ではゼネコンIT業者に無駄な税金を使わせ、その上、思想調査という危険行為に繋がりかねない結果を生むが、平日投票だと日程の変更とインセンティブの運用方法を考えるだけで済む。どちらが得かは言わずと知れたことだと思うがどうであろうか。