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異国見聞私書録

異国から見たこと感じたこと気になったこと。そして時折テクノロジーのお話。

「流れもの」に弱い英国

living abroad

 トイレの詰まり具合は米国に限らず、英国でもなかなかすごい。日本ではトイレが普通に使えるということは常識だと思うが、これもところ変わればそのような常識は通じないという好例だろう。

 現在筆者が働いている会社が入居しているインテリジェントビルでも、どこかのトイレが必ず詰まっていると言っても過言ではないと思う。すっきりどのトイレでも使えていた試しはほとんどなく、必ずどこかが壊れている。詰まるということだけでなく、水が流れっぱなしというケースも、よくある普通の光景だ。

 

 日本ではトイレという用を足す道具はかなり以前からコモディティ化しており、それ自体に付加価値を見出すことは難しいものになっているはずである。だからこそトイレのアドオンとしてウォシュレットなどを付け加え、「用を足す」という行為への付加価値向上にしのぎを削ってきた側面があると思う。トイレが流れないという問題に対しての取り組みについては、日本はもうかなり前から卒業した課題なのではないだろうか。

 

 ところが先進国と言われるかなり多くの国で、そうではないことが異国に身を置いていると見えてくる。水質やトイレットペーパーの粗悪さによる詰まりや、水流そのものが弱かったりすることは、街でトイレに入ると随所で見かける。

 一つ弁護しておきたいのは、これは英国の水質事情によるところが大きいと思う。これに関して言えば、英国は硬水で石灰質を多く含む水で、ライムスケールという水垢が油断するとすぐに水回りにこびりついてくる。上下水道などは言わずもがなで、配管の詰まりの手入れや交換はかなりの頻度で行っていないとすぐにダメになるのではないかと思う。ウォシュレットがなかなか取り付けられないのは、このライムスケールの配管詰まりによるところが大きいと以前駐在員の話で聞いたことがある。軟水化装置はあるが、それなりの値が張るため、ウォシュレット導入のためだけに購入する英国人は少ないであろう。

 ただ、それを差し引いてもトイレの壊れ具合はひどく、もう少し工夫ができる分野なのではないかと正直考えてしまう。我慢の限界時に駆け込んだトイレが故障中なときほど腹立たしく惨めなものはない。

 

 もうひとつ筆者が改善の余地があると思うはエアコンである。会議室やフロアがえらく寒かったり、暑かったりすることをよく経験する。英国人は日本人と比べて体温が高いと聞くので、部屋の温度を巡ってちょっとした小競り合いが起きていることはよく見かける。

 そもそも英国では暖房器具についてはエアコンを使用することが少ない。セントラルヒーティングと呼ばれる暖房器具で冬は過ごす。馬鹿でかいボイラーが一家に一つ鎮座しており、そこでお湯を沸かす。そしてお湯が通る配管とラジエーターが部屋の各所に設置されておりそれで部屋を温める。ピンポイントで「この部屋を温める」ということはできなく、一度沸かされたお湯は家全体を温める仕組みとなっており、人がいない部屋まで温めてしまい、非常に熱効率としてはよろしくない。

 さすがに最近の建てられたビル内がセントラルヒーティングになっている例は少ないが、それでもエアコンの暖気・冷気循環がいいとはお世辞にも言えない。

 

 水や空気といった「流れもの」を管理する技術は筆者の見る限り、英国はとても遅れている。このような分野で日本の技術を導入する機会は多くあるのではないだろうか。「流れもの」を扱いに長けている日本企業はぜひとも参入のご検討をしていただきたいところである。