異国見聞私書録

異国から見たこと感じたこと気になったこと。そして時折テクノロジーのお話。

Raspberry Piを使ってみよう

 Raspberry Pi (第2世代)を購入してみた。

Raspberry Pi

Raspberry Pi - Wikipedia

 英国の組織で運営されていることもあり、以前から購入を検討していた。初期モデルから話題をちょくちょく追っていたのだが、やはり初期モデルは非力なことからできることは限られていた。しかし、今年に入ってからより強力になった第2世代が普及し始めたこともあって、何ができるのか好奇心が再びうずき始めたのが購入のきっかけである。

 他の記事やブログでもスペックやシステム要件は多く記載されているのでここではあえて記載しないが、この格安・小型・省エネPCで何ができるのか少しだけ触れてみたいと思う。

◆ 格安・小型・省エネなPC

 まず格安であるということは、多くの人が手にできることを意味する。筆者は約£30で購入したが、子どもでもお小遣いを少し貯めればすぐに購入できる金額だと思う。その他にもmicro SDカードやキーボード、マウス、ディスプレイなども必要であるが、サーバ用途なら他のパソコンからのアクセスで代用できる。Raspberry Pi自体は基盤むき出しで送られてくるので、気になるようであれば専用カバーはさまざまな種類が売られているのでそれらを購入検討するのもいいかと思う。

 また格安とはいえ、それなりの「パソコン」であることは確かでウェブブラウジングや動画を見るぐらいの基本動作は違和感なく行うことができる。ちょっとしたパソコンがこのような値段で買える世の中になったことに時代の変遷を感じずにはいられない。

 Raspberry Pi本体は非常に小型で、表面積だけ見るならばスマートフォンよりも少し小さいぐらいだろうか。この小ささは置く場所の制限をとても少なくでき、電源さえあればほぼどこでも設置可能となる。電源もUSBから給電されるので、スマートフォンの種類によってはついてくる充電器でも代用可能である。もちろんパソコンのUSBからの給電でも問題なく使用できる。

 省電力設計で作られているので熱を発することが非常に少ない。つまり多くのパソコンで見られるようなファンを搭載する必要がなく、非常に静かである。寝室など音に気をつけなくてはいけない場所でも問題ない。

◆ 用途

 パソコンの基本機能をほとんど持っているため、動画の編集やエンコーディングなどの重いタスクでなければほとんどのことができる。USB Wi-Fiなどと組み合わせれば、配線がかなり省略できるので、さまざまな場所に設置も可能である。

 筆者が個人的におすすめしたいのは、簡易なモーションディテクタ(動作検知機能)である。ウェブカメラと組み合わせて、物体に動きがあった時に自動的に撮影するといういわば「監視カメラ」だ。

だが、別に人間を監視対象にする必要はなく、小動物などの観察に非常に適しているツールである。お子さんがいる方には夏休みの自由研究などで、野生小動物に支障のない範囲で餌を撒きながら観察をすれば、簡易システムの構築と同時に動物観察もできるという、二重の意味でいい研究材料になると思う。

◆ 運用例

 筆者の家でもよくベランダに来るリスを観察するのにこの仕掛けを用いた。以下のブログの内容を参考にさせていただき、設定をしてみた。(情報提供、ありがとうございます)

Raspberry Piと安めのウェブカメラで監視カメラを作る。何か動きがあったら画像保存もする | Divide et impera

motion.conf | ubuntu12

  motionというツールを用いてリスがカメラの前を通過、もしくは何らかの動作をした時にのみ、写真を撮るという仕掛けを作ってみた。

 一通りRaspberry Piのインストールや基本設定を終えたあと、以下のコマンドでmotionをインストール。

sudo aptitude install motion

その後、以下のディレクトリにあるconfigファイルをviなどで編集。

/etc/motion/motion.conf 

筆者は以下の部分だけ変更した。

  • 写真を撮るトリガーとなる設定。どの程度ピクセルが変化したかによって判別している。デフォルト値(1500)だとあまりに頻繁に撮ってしまう。一日あたり1万枚以上撮ってしまったこともあった。小動物以外の動きはなるべく検知したくないために少し大きめに設定。(大きくなるほど検知が鈍くなる)

threshold 8200 

  • 動画は容量がかさむので、offに変更

ffmpeg_cap_new off 

  • 日付・時間順に写真ファイルを保存。デフォルトの「%v-%Y%m%d%H%M%S-%q」だと要らない連番がファイル先頭についてしまう。

jpeg_filename %Y%m%d%H%M%S-%q

  • 写真の保存先の変更。予め外付けドライブをマウントするよう設定しておく。デフォルトだとSDカード内を使用するため、外付けUSBドライブに保存するよう変更。SDカードの書き込み/消去による劣化をなるべく防ぐ狙い。

 target_dir /mnt/usb/motion

  • 別PCのブラウザからリアルタイム映像を見られるように設定。これをすることによりブラウザから見ながらカメラ位置を調整することができる。

webcam_localhost off

  • 最後に上記motionの設定を反映させるために再起動

sudo service motion restart

◆ まとめ

 ここで紹介した例はほんの一部に過ぎなく、Raspberry Piはさまざまな可能性を持っている。おそらくInternet of Things (IoT)のはしりであり、今後こうした小型でかつ高性能なデバイスは多く登場してくるだろう。今のうちにどういうものか、どのような使い方ができるか経験しておくのもいいと思う。

 今後課題になると思われるのは電源部分だ。さまざまなところに設置できるとはいえ、電源はどこからか確保しなければならない。電源プラグがないところで使用するには、予備バッテリーが必要になるが、より小型で大容量な電力を蓄えられるものはいまだ登場していない。もちろんこの上、デバイス本体の少電力化がさらに進めば、乾電池一本でも長時間動くものも登場してくるだろう。今後どう技術が向上していくのか楽しみなデバイスである。

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