異国見聞私書録

異国から見たこと感じたこと気になったこと。そして時折テクノロジーのお話。

ルミネのように女性たちを応援すると、世界での評価は下がります

 筆者は男であるが、その目から見てもこのルミネのCMはひどい内容だと思う。

pokonan.hatenablog.com

 「女性の活躍促進」だの「女性を応援」だの、いろいろと標語を見かけることが多くなったが、正直いって的はずれなものが多い。今の状況のままで女性を社会に「積極活用」したところで、社会として前進していることにはつながらない気がしている。

 なぜなら、現在における社会制度の問題の根本は男性側にあるからだ。このブログでもよく問題にしている長時間労働などを例に取れば、結局のところ男性側の働き方を変えない限り、女性が今のまま進出したところで、男性のように長時間働かさられることは目に見えている。長時間働くことが事実上強制される「高度プロフェッショナル制度」なども法案として出ているようであるし、その状況証拠をあげるのは苦労しない。

 要するに今の成長戦略の一環として「男性と同じように女性も長時間働こう」ということを推奨しているのが実情なのだろう。

 

 このCMは女性を応援すると謳っていながら、終始男性目線で語られている。男の筆者が見ていても、かなり気分の悪くなるCMであった。こうしたCMを見るにつけ、それの出来上がる背景には男性の働き方を前提とした、女性の活躍を推し進めようとする意思を感じないわけにはいかない。女性を一人の人間として向き合うのではなく、一つ段差を下げたところに位置づけたいという性差別意識がヒシヒシと伝わってくる醜悪なものだ。なんとなく「社内のそういう空気」の中で女性は「おしゃれ」をしなくてはならないことを伝染させようとする、質の悪いウィルスのようなCMだ。多くの女性に不評だということらしいが、男としてももっと怒りの声を上がってもいい問題だと思う。

 

 最近の風潮として「女性活躍」を声高に叫ぶことと並んで、「グローバル人材」を求める声も大きい。筆者がちゃんちゃらおかしいと思うのは、こうして自国の女性ですらまともに取り合おうとしないにもかかわらず、どうして世界で活躍する人材を育てることなどできるのかということだ。他国で本当に活躍したいと望むのであれば、異性や肌の色が違っても同じ人間として対等に付き合える意識は最低限のものとして習得していなければならない。差別意識を丸出しにした人材など、裁判で多額の賠償金を絞られてほうほうの体で帰国させらされるのが落ちだ。

 

 以前の曽野氏のコラムもそうだし、今回の件もそうだが、こういう問題が起きるたびに日本は蛮族国家への道を一歩ずつ着実に歩んでいることを自覚しなければならないと思う。

 以前からこうした差別は意識的/無意識的にせよ、昔から連綿と続いていたのかもしれないが、情報化が高度に発達した社会ではその世界に伝わる伝達スピードは凄まじく速い。望もうが望むまいが、差別的な情報が発信されれば、それもまた拡散するスピードは速い。一昔前においては大して取り上げられなかった問題も、自国から離れたところで大きな問題となることも珍しくなくなっている。こういうことが今後も続けば世界における相対的な位置づけは知らぬ間に、これまた凄まじい勢いで低下していくだろう。