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異国見聞私書録

異国から見たこと感じたこと気になったこと。そして時折テクノロジーのお話。

大切なのは超格差社会がもたらす弊害をイメージすることだ

thinking

 ここに書かれていることは、今後グローバル化がこのまま進んでいけば、世界規模で格差は広がっていくということを示唆している。


世界は、「超格差社会」の矛盾に震えている | グローバルアイ | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト

 

 少し前にG型だかL型の学校区分けを行い、教育内容を変えていくような教育方針が提示されていたのを思い出した。別にそんな教育など行わずとも、世の中の流れ、すなわちグローバル化の流れが勝手に格差社会を作りだしてしまっているのである。

高学歴の男女は、多様な国際的状況でうまくコミュニケーションを取ることができ、利益を手にしている。その一方で、必要な教育や経験に恵まれない人たちが苦労しているが、こちらが多数を占める。

 反対にG/L型の教育区分けを進めていけば、格差社会にさらなる加速を与えかねない愚策だといえよう。一部の者たちが利益を永続的に享受でき、「必要な教育や経験に恵まれない」大多数の人々が貧困層に固定化されるという、「いつかきた道」を再び歩むことは容易に想像できる。L型に示される「教育」は、知性を鍛えるための教育と呼べる代物ではなく、単純作業訓練と呼んだほうが相応しい。つまりは思考訓練が十分でない、エスタブリッシュメントの都合のいいように支配される人間を大量生産していく教育と読み替えることもできる。

 

 誤解のないように何度も書いておくが、筆者は格差そのものをとても良いことだとは思わないが、かと言って全否定するつもりもない。格差は人間社会を営む上でどうしても発生してしまうものだからだ。今までの歴史上、人間社会に格差のなかった時代などあろうか。将来、技術の進歩で格差は縮まるだろうが、きっとなくなることもないのだろう。また、格差が存在するほうが自分を向上させていく動機にも成り得るのである。

 筆者が否定したいのは格差の固定化である。階層間の風通しの悪い格差は多くの面で社会に歪を生む。特に貧困層が世代間で引き継がれ、その多くが固定化されてしまうと社会への不満は積算していく。どんなに努力しても上に登れない社会は絶望も多く生み出す。どんなに悪いことをしても下に落ちない仕組みは、不公平感を蔓延させる。

 それだけでなく階層間での風通しが悪くなれば、階層間での意思疎通そのものができなくなり、互いへの憎しみを増幅させやすい土壌も醸成する。これは力あるものが、力なきものへ対する差別の土台へと移行する。そしてそれは、その後の悲劇を引き起こしやすくする。

 格差から差別に移行してしまったら、それを無くさせるのは容易ではない。南アフリカにかつてあったアパルトヘイト政策のように、差別を合法化する流れが、差別をなくすムーブメントを凌駕していくだろう。その流れを反転させるには、ネルソン・マンデラ氏のような抜群の知性と不撓不屈の意思を持つ、ぼぼ奇跡的な人物の登場を待たなければならなくなる。

 

 今、見つめなければいけないのはG型やL型などの視野狭窄な教育についてでは断じてない。超格差社会が招きかねないカタストロフィーを実感を持って想像することである。格差固定化がもたらす、社会の退行について具体性をもって個々人がイメージすることだ。この格差の世界的傾向にどう歯止めをかけて行けるのか、それこそ人類の英知をかけて見つめてもいいのではないだろうか。