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異国見聞私書録

異国から見たこと感じたこと気になったこと。そして時折テクノロジーのお話。

この有給消化義務付けは長時間労働の是正には決してならない

jobs thinking

これは卑怯なやり方の典型だ。

現在の政権の性格を考えればやりそうなことだが、それにしてもやり方が姑息すぎる。この有休消化義務付けはホワイトカラー・エグゼンプションを通すための口実に過ぎない。

ホワイトカラー・エグゼンプション(WE)は何度も登場しては消えて行く、問題法案である。このブログでも何度も取り上げているが、雇用側の解釈次第で従業員に対し、長時間労働を強いることができる「ブラック企業促進法案」である。

言うまでもないが、一見綺麗に見える有休消化義務付けを前面に出すことで、この悪法案を通そうとしているとしか思えない。

そもそも有給を「社員の希望をふまえ年に数日分の有休の取得日を企業が指定する。」とはどういう了見か。数日分ということは2、3日でもいいということだろうか。「2、3日無理矢理有給を取らせればあとはWE適用で働かせ放題」との解釈も十分可能である。

ヨーロッパ諸国では有給はほぼ全部消化が当たり前だ。前年度分が溜まってしまうこともあるようだが、あとでまとめて取得している。現に筆者の同僚などは、まとめて2ヶ月近い休みを取っている。

また、病欠は有給と別にカウントされる企業も多い。詳しくは知らないが、米国では予備兵として登録している場合、兵役に出るときの休みとして別取得できるようだ。有給全消化は労働者の権利として本来「当たり前」であり、「数日分」消化などあり得ない。先進国と呼ばれる国では有給全消化を大前提とし、なおかつ予備で他名目の休みをつけるのが普通なのである。

そもそも有給休暇の取得というのは労働者の体と精神の健康維持を保つ意味合いで持たれている側面も強い。「数日分」の有給取得では労働者の健康は全く維持されないと見ていい。本来、健康維持を考えるのであれば、数週間から数ヶ月単位で考えるべきことのはずである。

「数日」の有給取得義務付けうんぬんよりも、さらに効果のある健康維持法案は労働時間規制だ。健康を維持するのに必要な労働時間しか働けなくすれば、こんな意味のない議論などせずに済む。

人の生きている時間は有限である。人の働ける時間もまた有限である。働ける時間は無制限として考えるのではなく、固定した時間枠組みの中で経営を考えられる方は、もう日本にはいないのだろうか。この議論の向かうところは的外れとしか思えない。