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異国見聞私書録

異国から見たこと感じたこと気になったこと。そして時折テクノロジーのお話。

戦争ビジネスとして利用されているガザ

毎日、地球上のどこかで悲惨は存在するが、ここまで意図的に作られた悲惨は、現在においてガザ以外にはないと思う。

ガザ、地球上で最も悲劇的な場所 | Queen Rania of Jordan

かつてナチスによって、ユダヤ人絶滅政策が施行されたことがあった。絶滅収容所(強制収容所ではない)は各地に作られ、日々そこにユダヤ人たちは収容、そして虐殺された。ガスチェンバーに閉じ込め、毒ガスによる虐殺であったり、トラックで運びながら一酸化炭素中毒死させる殺人トラックもあった。トラックの排気口が荷室に直結する設計になっており、目的地につく頃には「処理」されていたという。この他にもいくつもの殺人方法は考えられ、実行された。

これらを行わせたのはユダヤ人を如何に短時間かつ効率的に絶滅させようかという明確かつ冷酷な意志だ。そしてナチスの行う行政の一環としてユダヤ人を根絶やしにしようと、システマティックに絶滅政策は粛々と行われていった。一度政策としての手続きが取られた上で、行政の軌道に乗ってしまったこの残虐行為は、「人の痛み」などという感情は一切排除した形で真面目に進められた。その結果、すさまじい数のユダヤ人たちが殺される結果となった。

 

ガザもある意味において、類似した状況に置かれていると思う。出入りが不自由な隔離地域に閉じ込められ、まともな水もなく、ガスや電気も怪しい。社会インフラがまともでなければ、教育や医療も受けられていないことは想像に難しくない。そうした状況下において人々のフラストレーションが溜まっていけば、必ずどこかで暴発する。その暴発が戦争の引き金であり、同時に死の商人たちのビジネスチャンスとなるのである。

ガザは意図して巨大な戦争ビジネスのシステムに組み込まれていると筆者は考えている。定期的に問題が勃発するよう予め設計されている地域なのではないだろうか。イスラエルの圧倒的戦力による「一人勝ち」の状況や、国民の危機意識扇動、兵器開発・導入のシステムなどを見るにつけ、ガザは「生贄」として戦争ビジネスを回すシステムの中に組み込まれていると考えると腑に落ちる。ガザはさらなる兵器を開発と実証をするために試験場であり、内情から国民の目をそむけるためのデコイであり、どこぞやの死の商人を肥えさせるためのビジネスチャンスなのだ。

この問題はパレスチナとイスラエルの対立という単純構造だけではない。ことのはじめはそうであったかもしれないが、もう既に宗教上の対立でもなくなっていると思う。戦闘の裏で行われているビジネスのシステムとして全体像を捉えようとしないと、こと問題の本質を見失ってしまう、大変根が深いものなのだと思う。

 

少し気になるのが、日本での報道のされ方だ。日本のニュース番組は見ていないのでよく知らないが、ガザに関するものはどれだけ放映・公表されているのだろうか。イスラエルに武器輸出は可能とする見解を出した日本であることから、積極的にガザに関する報道はされていないと勝手に想像している。ビジネスチャンスに食い込みたいときに、当事者の機嫌を損ねるような、刺激を与えることは普通はしないからだ。本来、「積極的平和主義」というのは武器輸出という戦争に肩入れするのではなく、戦闘を少しでも止めるべく状況を多くの人に知らせ、何が行われているのか正確に伝えるだけでも大きな効果が期待できるのではないか。

英国も「ビジネス」に絡んでいることは想像に難しくないが、BBCニュースの最初で大きく取り上げ連日報道しているのは、報道関係者としてまだ矜持を持っているということなのだろうか。この辺の利害関係はまだよくわからない。だが、これから根深く問題に切り込んでいける報道番組が世界にあるとはあまり思えないのが残念である。

 

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