異国見聞私書録

異国から見たこと感じたこと気になったこと。そして時折テクノロジーのお話。

欧州のテクノロジー変遷や仕事観

諸外国に滞在や旅行をすると、テクノロジーが一様に広がらないことがよくわかる。

例えば、国名は伏せるが、現在旅行している欧州のとある国ではiPadやKindleの普及率が日本や英国などと比べて非常に低いように見受けられる。地下鉄に乗ると、英国では一つの車両に10人以上はどちらかを使っているように思う。だが、この国では紙ベースの本を読んでいる人がほとんどで、たまに電子書籍を楽しんでいる人がいるかと思えば、英語を話す外国人であったりする。もちろんラッシュアワーなどの時間帯にも左右されると思うが、それを考慮しても少ないのではないだろうか。

現時点において、もっとも早く新しいテクノロジーが勃興するのは言うまでもなく、米国西海岸である。あくまで筆者の肌感覚であるが、それから二年ぐらいして日本でも同様のテクノロジーが流行り出す。そしてそれからさらに二年ぐらいして英国に浸透が始まる感じがする。また、PCパーツも英国では米国や日本と比べて手に入れにくい。品揃えが少なく、Amazonの中でもその傾向は顕著であると思う。

保守的なお国柄なのか、規制に依るものなのか、詳しいことは調べたわけではないのでよくわからないが、欧州の一部の国々では先進的な技術の取り込みに対して、若干慎重姿勢なのかも知れない。その態度を取り続けていることが今後、吉と出るか凶と出るかはわからない。ただ、テクノロジーの発展は多々問題はあるものの、総じて良い方向に進むと思っている筆者にとって、かなり興味深い態度であることは確かだ。

 

テクノロジーとは直接関係はないが、欧州の地域によって、人々の仕事における態度もだいぶ異なることもわかってきた。ただし、個々人にも大きく依るところがあるので一概に言えるものではないことは確かだ。あくまで個人的な印象の範囲は出ない。

南欧州の人々のほうが人生を楽しむことに重点をおいている印象を受ける。仕事をすることはあくまで人生においての「おまけ」であり、主眼は異なる方を向いている。それは家族であったり、趣味やスポーツであったり、信仰であったり、人さまざまだ。

北方はそれなりに真摯な仕事をする人が多いように思う。特にイタリアなどはその傾向は顕著なようで、北と南とではまるで違うとのことだ。同じイタリア人をして「南とは仕事はできない」と、飲み会の席ではあったが、北イタリア出身の人が述べていたのに笑いを禁じ得なかった。筆者はイタリア人はすべて同じような価値観を持っていると思い込んでいたので、この点について反省しなければならない。

 

欧州は他の大陸の国々と比べてかなり小さい地域だと思うが、人種や価値観の違いにおいては、人種のるつぼである。米国も人種のるつぼな国であるが、言語や習慣の違い、土地の広さなども考慮すると欧州の比ではないと思う。その摩擦の中で育まれてきた生活態度が、種々雑多の受け入れ方を柔軟にしたり硬化させたりし、地域差を生み出しているのだろう。過激な化学反応が起き易い反面、興味深い現象もたくさん起きるのが欧州なのだ。