異国見聞私書録

異国から見たこと感じたこと気になったこと。そして時折テクノロジーのお話。

あえて格差を設けておくことはそんなに悪いことではないが・・・

ユニクロを擁護する気はさらさらないが、格差を設けておくことは必ずしも悪いことばかりではない。

ユニクロ正社員、「N社員」と「R社員」の給与は天と地か 人事の目で読み解く企業ニュース【2】:PRESIDENT Online - プレジデント

ただし、それは格差の壁を「グラスシーリング」などで完全に塞いでおくことではなく、ある一定の通り道を残しておくことで向上心を高められる道、克服することが可能な緩やかな格差を残しておくことである。

反対にすべて平等にした結果、悪しき「格差」が生まれてしまった例で思い出したのが「アントニヌス勅令」である。今まで持っていた特権がなくなれば、人はグレる。グレた結果、新参者との間に克服不可能な壁を創り出そうとする。そして壁が克服不可能であると気づいた時、人は向上心を失くす。そして社会は疲弊する。

 

以前にもユニクロがどのような人事制度を運用する気なのか、少しだけ言及したことがある。社内格差をどの程度まで設ける気なのか、その具体的なところまで窺い知ることはできないが、今までの言動から鑑みるに、おそらく手放しでいい方向に向かうとは思えない。上記記事も参考情報として組み入れるなら、特権階級の社員を拝み「なりたい」と思うことはできるが、そこに行くには果てしなく高い「壁」を設けるのではないかと思う。そのほうが末端社員の向上心を失わせず、人件費も浮かせることができるからだ。ただし、そうは言っても上層階に行く数少ない「例」は作るだろう。全くの「該当例なし」ではやはり向上心は維持できないからだ。上層階に行けた実績があるのとないのとでは、希望が持てるという意味でも俄然違ってくる。

上層階に行くことは名目上可能だが、実はとても狭き門である人事制度を老獪に利用しながら、最低賃金で最高利益を稼ぐ算段なのではないかと思う。格差があっても、上下層の風通しが悪くない組織であれば、それなりに健全にまわると思うが、風通しが実はほとんど「見せかけ」であったことが周知の事実となった時、また問題は必ず再燃するだろう。現段階では人事制度を変えても火種は常にくすぶっているようにしか見えない。

地域限定社員として入社したいのであれば、こうした予想を立て、自分の受け入れられる範囲なのかどうかを自問しながら進むべき道を考えたほうがいいと思う、今日この頃である。