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異国見聞私書録

異国から見たこと感じたこと気になったこと。そして時折テクノロジーのお話。

潜在ブラック企業のあぶり出し

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マンネリ気味の話題だが、やはり書いておこうかと思う。

月80時間の残業では「ブラック企業」にならない?(上西充子) - 個人 - Yahoo!ニュース

以前日本にいた時、月60時間ぐらいの残業はよく行なっていた。実際にはカウントされていないが、80時間以上もあったと思う。上司に、形式的に注意されて「調整」を行った経験は幾度となくあった。従業員ほぼ全員が行なっているので、それに合わせるのが当然だというのがなんとなく暗黙の了解として根付いていた。

新人の頃からこうした空気の中で仕事を行うと、それをはじめは「ブラック」として意識しながらも、時が経つに連れて、それを当たり前のこととして受け入れてしまうのはある意味、仕方のないことなのかも知れない。何の力もない一人の新人が、かたくなに「ブラック」に抵抗し続けるのは、なかなか難しいことではないだろうか。そもそも昔は「ブラック企業」などという言葉は未だなく、どこからがブラックの線引きなのかという事など、あまり真剣に考えてこなかった人のほうが多かったと思う。

時は経ち、ブラック企業はつけあがり過ぎた。今までも過労死などはあったが、従業員は身近な問題として捉えることは少なかったのではないだろうか。しかし、死には至らないでも同僚のうつ病や「心の病気」で戦線離脱していくに従って、自分の身の周りでも何かがおかしいことに気づいてきた。それだけでなく、筆者のように海外勤務経験者が増えるに従って、日本の勤務形態が、他国と比べて明らかに歪であることを知ってしまう者も増えているはずである。企業にとって、ある意味「グローバル化」は従業員に「気づき」を与える皮肉な方向に働いているとも言えよう。

さらに昔と比べると、情報を得る手段が格段に向上している。すさまじく働いているつもりでいても、単位時間あたりの生産性が他の国と比べて低いという事実は少し調べればわかってしまうのである。ここから日本での働き方に疑問が生じて来ないわけがない。

 

時間外労働とはどのような時に適用されるのか、人間の健康とは何か、企業はもう一度真面目に見直してほしい。「過労死ライン」まで働かせることが「当たり前」という認識が通じる時代ではないのだ。ましてやグローバル化を標榜するのであれば、日本人以外の現地スタッフにも「過労死ライン」まで働かせることを当然視するのは大きな間違えだ。グローバルで「ブラック化」を望んでいるのであれば、それ相応の覚悟をしておいたほうがいい。裁判で済むのであればまだマシなほうだろう。世界の人々は日本人のように大人しくはない。

また現地スタッフが働かないからといって、異国の日本人従業員に対し、仕事の「しわ寄せ」をするのも明確な間違いである。それを行なっている限りは、永久に「グローバル化」などできない。刹那的な利益は上がるかも知れないが、いずれどこかで必ず破綻をきたすやり方である。

 

引用した調査結果では「ブラック企業」ではなくても、「ブラックな認識を持つ企業」がある意味割り出されていると思う。この数値は少なめだと筆者は考えているが、それでも十分意義を持つ調査だ。「日本企業の4割以上が潜在ブラックである」という事実は、誰しもなんとなくわかってはいたが、なかなか定量化できなかったことではないだろうか。こうした「あぶり出し」と緻密な考察がブラック化を防いでいく、地道な作業ではあるが、着実に効果を生んでいくものとして評価したい。