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異国見聞私書録

異国から見たこと感じたこと気になったこと。そして時折テクノロジーのお話。

ホワイトカラー・エグゼンプション制度はブラック企業をのさばらせる

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このホワイトカラー・エグゼンプション(WE)関連の議題は出ては消えていく。今回も性懲りもなくまた議題をテーブルにあげようとしているらしい。

再浮上する残業代ゼロ案は「企業をブラック化する」と専門家 (NEWS ポストセブン) - Yahoo!ニュース

残業代ゼロは問題ない - シートン俗物記

時間に縛られない仕事、多様で柔軟な働き方、女性が活躍しやすい仕事場、と言うと聞こえはいいが、こうした美辞麗句の裏側にあるものを読んでいかなければならない。

「アベノミクスは労働者を疲弊させ、ブラック企業を助長する」と一つ目の記事にあるが、そもそも現政権は「ブラック人材」の登用に全く違和感を感じない政権なのである。どこかのブラック企業の元会長を自党公認にした時点で、労働規制に関連する法案は、強い「疑いの目」を持って監視しなければならない。元会長の意図がどの程度盛り込まれるのかは全く不明であるが、少なくとも党や政権として「同類の考え方」の延長線上にあるとみなすべきだと筆者は考えている。

労働に対する対価の考え方は、比較的容易に評価できる仕事と、そうでない仕事に分別できると思う。営業職などは、売上の定量化が比較的簡単にできるので「時間給」などで縛るのは確かに合理的でない部分はあるかも知れない。しかし、売上に直結しない職種(総務や庶務など)ならばどのような評価軸で評価できるというのであろうか。WEの文脈をたどれば、会社からの評価、つまり上司からの評価に重点が置かれる可能性は高い。評価軸がもしこのような方法を使うのであれば、それこそ今以上に「ブラック化」する可能性は高い。会社の胸先三寸でその従業員の評価が決められてしまうのであるから。

こうした弊害を無くすためにも「時間給」による評価が取り入れられている部分もあると思う。どのような仕事ぶりであろうと、拘束した時間下においては「支払いを保証する」という取り決めを行ったのだ。

時間給泥棒はどのような組織にも存在する。その割合は組織によってさまざまだと思うが、一般的な日本人の勤勉さから考えれば、それほどに飛び抜けて高い割合ではないと思う。例えば生活保護における不正受給の全体に占める割合は約0.38%だという。給与泥棒はこれよりおそらく高いにしても、この例からも驚くほど高い数値ではないと思う。給与泥棒は確かに許せないかも知れないが、その小悪を許すまじという想いから巨悪案を受け入れるでは本末転倒だ。

 

この法案のポイントは、

  • 従業員の健康への配慮措置を設けた上で
  • 労使合意により対象職種を決める方式
  • 「高収入・ハイパフォーマー型(年収が一千万円以上)」の労働者を対象とする

だという。

東京新聞:残業代ゼロ検討指示 首相「時間でなく成果で評価」:経済(TOKYO Web)

「従業員の健康への配慮」は現時点でも形骸化しているので、新案でも形骸化したものが盛り込まれるのは想像に難しくない。「労使合意」も現代においては労働組合そのものが少なくなったため、これもあまり意味を持たない方式と思われる。最後の高収入の労働者対象だが、まずは影響度の少ないところから取っ掛かりとする思惑だろうか。低収入者普及への布石と見てもおそらく問題ないと思う。高収入者にだけ、このような制度を設けても意味がないので、将来的には必ず低収入者にも普及する。

何度も言うが「ブラック企業」思想を持った人を登用している時点で、こうした政策は疑いの目を持って望むべきだ。きれい事を述べるその腹の中まで見ていかないことには、決して鵜呑みにしてはいけない。