「女性の社会進出のため、家事に外国人を」は動機が怪しい
今日はブログを書く気分ではなかったが、以下の記事をながめていて気が変わった。
安倍首相「女性の社会進出のため、家事に外国人を」 ネット上では、疑問や批判の声が相次ぐ : J-CASTニュース
はぁー。こうしたバカ記事を鵜呑みにするのも何だが、それを考慮しても現実を見ていないというか、お金のことしか頭にないというか、本質が見えていないというか、こんな指導者を持った国は本当に不幸というか、なんとも限りなく知力の低い、やるせなくなる記事だ。
別に移民政策に対してとやかくいうつもりはない。欧米をはじめとする多くの国で行われており、成果もありながら、同時にその多くに問題があるという現実も無視できないのは承知している。でもたとえそうであっても、黒髪黒目の人種が国民の大部分を占めているという偏った構成は、いずれどこかで変えていかなければ、バランスの取れた社会とは言えないと筆者は考えている。長いスパンで見た場合、多くの異なる人種でと価値観で構成された社会こそ、問題を抱えながらも長期に渡って繁栄できるバランスの取れた社会構成であると信じている。
だが、この首相の発言からはそのような思想は少なくとも読み取れない。感じられる意図は、
- 日本人女性をとにかく社会放出し、働かせたいということ
- 異国から人を家事労働者として取り入れたいということ
- 日本人成人男性の家事労働参加に対しては言及していないということ
- 労働条件などを考慮している形跡は見当たらないということ
ぐらいだろうか。何度も言うが事実の拡大解釈は日本マスコミの「お家芸」なので、そのまま受け入れることはできないが、この首相の今までの言行からすれば、当たらずとも遠からずといったところではないだろうか。これらに基づき、筆者のうがった推察をすれば、以下のようになる。
- 女工哀史よろしく、女もブラックに働け
- 雑用(子育て含む)などは異国人に任せておけばよい
- 男は今までと変わらずひたすらブラックに働くべし
- より最低賃金をグローバルスタンダードにしていく
これらは筆者の妄想で終わることを切に願っている。これでは問題の本質を見ようとしない、いや恣意的に為政者の都合の良い方向に解釈を行い、より悲惨で文化摩擦をより生じさせる社会形態を目指している方針とも受け取れなくもない。移民政策と経済成長のダークサイドを積極採用したような、目も当てられない破滅的な政策だと思う。
男性の家事・育児参加をもっと促せば多くの面で問題を改善できると筆者は思う。定量化をしたことはないが、一般的に日本人男性の請け負う仕事量は欧米人のそれと比べてかなり多いと経験的に思う。役職も上がれば責任量だけが増え、給料は上がっても微々たる量だ。おまけに理不尽に時間を取られる作業も多い。
このような状況下では、家事・育児を行いたくても物理的にできない人も多いと思う。もちろん工夫次第で「ライフハック」すればその時間は取れるだろうが、現実にそれを実践できている日本人男性はいったいどれだけいるだろうか。そもそも「ライフハック」記事がまだたくさんネット紹介され続けているのは、まだまだ時間が取れない人がたくさんいる証左ではないだろうか。
本質から見た社会改善は、女性を無理やり社会進出させるのではなく、異国の人を低賃金雑用労働者として入れることでもない。女性と男性がそれぞれ人生のステージにおいて、分業していける習慣と社会構造を持てれば、それだけで社会の魅力は高まると思う。社会に魅力があれば、異国からの優秀な人が集まり、異文化を理解して暮らす人は増える。
上げる御旗は一見すると美しいが、その中身は「美しさ」と正反対を向いているケースは、古今東西よくある話だ。あ、そういえばどこぞの首相が以前、「美しい国」とかいう本を書いていたな。これは「欝苦しい国」とでも読み替えるべきなのだろうか。