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異国見聞私書録

異国から見たこと感じたこと気になったこと。そして時折テクノロジーのお話。

大英博物館を訪れて

外国人観光客ばかりで、地元の人はほとんど行かない場所の一つに大英博物館がある。

British Museum - Welcome to the British Museum

これは英国に住む多くの日本人とて例外ではなく、滞在当初は必ずと言ってよいほど行くが、住む期間が長くなるに連れて足は遠のく。そんな筆者も今回訪れたのは5回目である。これが多いのか少ないのかわからないが、毎回行くごとにいい意味での刺激がある。

何も調べずに展示物を見るだけでも十分楽しめるが、高校生ぐらいで使用する世界史の教科書をもう一度引っ張り出し、ざっと読んでおくと楽しみは倍増する。余談だがなぜか日本では高等教育になると、日本史と世界史が別れてしまうので、世界史を取らない人もいるがこれはとても残念だ。時間と空間を並行して学ばないと、本当の意味での歴史は学べないのではないかと筆者は思っている。

さらに楽しみを倍増させるには、自分で定めた「とある時代区分」について重点的に調べてから訪れることである。時代背景や主要人物の生年や没年、業績、性格、語録、性癖など知っておくと、単なる彫像がまるで息を吹き返したかのような別物に見えてくる。端的に言えば、より親しみのある存在となり、「人物」として脳内で生き返る。古臭いフォークやスプーンも、庶民の生活をより臨場感を持って見ることができるようになるのだ。これは筆者が前回に訪れた時と、大きな違いとなった。

ここで注意しなければならないのは、大英博物館は展示物が凄まじく多伎に渡っているので、歴史の「ごった煮」感があるのは否めない。筆者は最近、古代ローマ史を見ているのだが、大英博物館の案内掲示ではギリシャとローマが一緒になっている。ギリシャ史は1階(Ground Floor)で主に展示されており、古代ローマ史は3階がメインとなる。こうした展示場所が微妙に違うことの注意書きはなぜか見当たらない。ギリシャとローマ、お互いの文化や歴史が関係があるとはいえ、案内掲示で一緒にするのはあまり賛成できない。おまけに場所がなかったのか、ゾロアスター教の展示物がローマ史の狭い一画に展示されているという、ちょっと訳のわからない展示構成となってしまっていた。

ほかにも面白い展示を見つけた。貨幣の時代推移を展示してある一画がこの博物館にはある。そこでBitcoinの展示がすでにされていたのである。前回訪れだ時にはなかった展示物だ。当然、通貨そのものは展示しようがないが、紹介雑誌やSatoshi Nakamoto氏の論文などが展示されていた。大英博物館として、Bitcoinのような仮想通貨を通貨の歴史の一部として認めたということなのだろうか。大変興味深い展示であった。

世界史の教科書でしか見たことのない展示物が、間近で自分の目で見られるというのはこの上ない贅沢だと思う。これが無料で入館できるというのだから、その懐の深さに驚嘆する。

時間の使い方は人それぞれだが、世界史に触れるチャンスはそうない。5回と言わず、さらに続けて訪れていきたい。