異国見聞私書録

異国から見たこと感じたこと気になったこと。そして時折テクノロジーのお話。

Linuxには問題があるからこそ、その真価がある

以前、教材としてLinuxを使ったらどうかという主旨のブログを書いた。

教材としてのLinux - 異国見聞私書録

しかしながら、想像はしていたが、以下のような混乱もおきているようだ。

【実話】XP から Linuxに移行したら先にサポートが切れたでござる - Windows 2000 Blog

 

詐欺まがいな広告を出している業者はともかく、こうした混乱は軽度に起きた方がむしろ望ましいと思う。Linuxは実質上、無料で使えるOSであるので、ユーザ側である程度は「痛さ」を覚えていく必要性がある。お金はかからないが、知識と労力は必要とするのだ。そしてこの「痛さ」を克服していくことで、はじめてITに慣れていくことができるのではないだろうか。

現代日本において、ITなしには生活を語れない。おそらく生活する上で、ITに触れない日は数えるほどしかないに違いない。そんな中で「ITは苦手だから触らない」という理由は通じなくなってきていると思う。自分の手で解決できるところは解決する意識がどうしても必要になっている。どうしても触りたくない人はお金を支払ってサポートを受けるという手もあると思うが、普段、自分の使うものはできる限り自分でメンテナンスできるほうが望ましい。

服だって洗濯するし、調理器具や食器もメンテをする。少し器用な人ならば、服の繕いや、調理器具の手入れも自分である程度行う人もいるだろう。ITが日常生活に馴染んできたからには自分で使うものは、できるだけ自分から知識を習得し、自分で手入れできるようにしておきたい。

ただし、オープンソースのOSを使用するときはやはり注意喚起が必要だろう。自らが学んでいく姿勢が、プロプライエタリのものと比べてより必要とされるからである。ある程度、時間と情熱をかけられない人にはやはりオープンソースは向いていないと思う。「タダ」で使えるOSということを前面に出し、いいところだけ宣伝するのは誤解を招くだけでなく、ユーザ離れを加速させるだけだ。

そうした文脈からも、老若男女混交の一般ユーザというより、学校で教育用としてのLinuxのほうが有用であると思うのである。OSの概要を知る上で、そしてより大きなシステムへのつながりを知っていく上で、手頃で情報も多くある、格好な教材OSであると思う。

問題点も多くあるLinuxではある。だが、この問題点ひとつひとつの克服こそが将来のITに習熟した学生や社会人を育てる。引用したブログにもあるような問題にめげず、Linuxユーザには是非とも、一緒に前に進んでいきたいものです。