異国見聞私書録

異国から見たこと感じたこと気になったこと。そして時折テクノロジーのお話。

残念ながら日本は後進国への道を歩き始めていると思う

女性議員の比率だけで判断するのは早計だとは思うが、一つの指標になることは確かだ。

日本の女性国会議員比率、先進国で最低 衆院8%:朝日新聞デジタル

「先進国で最低」という表現は残念ながら間違えている。日本の女性国会議員比率は「後進国」と表現するのが正しいと思う。女性議員の比率だけではない。あらゆるところで「後進国」と言わざるを得ない事例が最近とみに増えた。いくつか例をあげてみたい。

  • ブラック企業の横行
    労働力を食いつぶすブラック企業の横行は今に始まったことではない。厳密に査定すれば、日本のほとんどの企業が「ブラック」認定されるかも知れないという話もあるという。長時間労働を美徳とする日本の商慣習を悪用、もしくは作り上げ、行われるはずであった「富の分配」はいつまでも行われることはない。このような「ブラック」の横行は大小限らず、本来は問題の俎上に載り、減少傾向に向かうはずであるが、日本ではそのブラック代表格の人物が国会議員として当選してしまうという後進国である。

  • 長時間労働の美徳観
    これはかなり昔からあるかも知れない。会社への滞在時間が適正評価の対象となり、生産性や成果の評価方法は二の次となる。この結果、健康を害しても会社へ滞在し続け、挙句の果てには健康診断結果の不良項目の多寡を競う、「不健康自慢会」が行われたりする。この会では当然、不良項目が多いほど会社に「尽くしている」とされる。表ヅラでは健康促進を謳いながら、その実、不健康へ邁進する社員を優遇するという後進性がある。

  • 弱者バッシング
    ホームレス、生活保護受給者、子ども、妊婦(「マタニティマーク」は危険? | web R25)などバッシングの焦点の多くが弱者に向いてきている。問題の本質に目を向けようとせず、安易にストレスのはけ口にできる社会的弱者を生贄として扱おうとする、とても卑劣な後進性である。

  • 過去や失敗から学ばない姿勢
    為政者や公人など、社会的地位の高い人における歴史観の劣化が激しい。先の大戦の正当性や美談ばかりを強調し、犯した莫大な失政については小賢しい修正を試みる。世界の多くの国からは敗戦を今だに受け入れられない見苦しく、はた迷惑な国としか映らず、ここでもまた世界から見た後進性を高めている。
  • 報道の質
    日本のテレビニュース番組はもう数年見ていないのでわからないが、新聞に関して言えば欧米のほうが間違いなく幅広く、深みもある。英語がある程度理解できれば、紙面に目を通せばわかると思う。読みたいと思う記事がはるかに欧米紙のほうが多く、内容も充実している。得られる情報の質と量が違ってくると、読者の社会知力にも当然差がついて行くだろう。日本の報道の自由度は59位だったのも頷ける。

欧米の価値観や社会形態が先進的であるかと問われれば、筆者には決してそうは思えない。日本のほうが理にかなった部分はいくつもある。だが残念ながら社会構成員としての基本意識は、相対的に見て、日本は後進的な部分が多く、さらにその種類と量は増加傾向にあると思えてしまう今日この頃である。