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異国見聞私書録

異国から見たこと感じたこと気になったこと。そして時折テクノロジーのお話。

腹が減っては教育もできぬ

腹が減って不機嫌や怒りっぽくなった経験はないだろうか。

あしたが見えない - NHK クローズアップ現代

貧困は人の心を過激にしていく。反対に飢える心配がなければ人を穏健化していく。個別例をみれば例外もあるだろうが、全体としてみた場合、これは紛うこと無き事実だ。

ここ最近のヘイトスピーチや右傾化した言われる世間の理由を考えるに、背後に広がる広大な貧困があるのではないかと疑っている。先鋭化した精神に「すがれる対象」を用意すれば、現在目の前にある苦しい現実から一時的にせよ目を背けることができる。

現実にはこれでは全く改善しないが、「すがれる対象」があるのとないのとでは、心の均衡の保ち方が違ってくる。「すがれる対象」としては、皆で悪者を仕立て上げるのと、仲間と感動を叫び合うのと大した差異はないと思う。

 

話が少しずれた。この記事で気になったのは風俗店の保育所。おそらく一般の保育所よりも便利でよくできたシステムなのではないかと思う。以前聞いた話だが、米国の先進的なIT企業では託児所が会社内に完備しており、会社の自席からストリーム動画で自分の子どもの様子が伺えるという。ここまでの設備はないにしても、安心して子どもを託せる環境にあるのではないだろうか。

だが、こうした環境が提供されると貧困の連鎖が出来上がるのではないかと思う。一般的な風俗店で長く働けるとは考えにくいが、特殊なニーズの風俗店でも子どもを預かれるようになれば、そちらに行くだろう。「闇」風俗店でも子どもを預かってもらえるようであれば、そこへ行くだろう。こうした環境下で育つ子どもはどのように将来を見つめるのだろうか。

こうした環境下で働くシングルマザーに責任をなすりつけるのは簡単だ。しかし、彼女たちに選択肢はなかったのである。選択肢を切り開いていくのは、あるレベルからは個人の責任の名において行うべきだが、貧困下にある彼女たちはスタート地点から選択肢が奪われている。その現実を見ないままに「自己責任」を叫ぶのは甚だ疑問である。

この記事がいうように根本的な打開策は教育の充実しかないだろう。しかしそれが実のるには時間が必要であり長期的な視点での解決策だ。短期的には就労だろうが、「首切りの自由化」が「雇用の創出」より先行して議論されている状態においてはとても心もとない。シングルマザーの厳しい現実はまだ続くのか、明日のみぞ知る。