異国見聞私書録

異国から見たこと感じたこと気になったこと。そして時折テクノロジーのお話。

日本会議がやるべきこと

 筆者は長時間労働に対しての規制に賛成であることを今まで書いてきたが、その流れが怪しくなってきた。

繁忙期100時間の残業特例、連合が容認方針 :日本経済新聞

規制案を骨抜きにする勢力は、経団連をはじめ、まだ多く存在すると思う。ただ、労働者側に立つはずの人たちがなし崩し的にこうしたことを容認するのはどうかと思う。労働者は経営者の立場と比べて権限は弱い。最後まで労働者の立場に立った意見を貫くべきだったのではないだろうか。

 今、日本にある多くの問題が長時間労働に集約すると筆者は考えている。少子化問題や女性の活躍など長時間労働を強いられるせいでうまく回らないことも多い。「仕事だから」という免罪符かつ思考停止の言葉で、あらゆることの言い訳に用いられている。特に家族で一緒に過ごす時間などは、長時間労働のせいで奪われている家庭は日本に数多くあるはずだ。

 

 家族の絆や一体感という言葉が出ると、筆者は日本会議という組織を思い浮かべる。筆者はこの組織とは多くの面で意見が合わないが、彼らがよく反対していることに「選択的夫婦別姓などの政策には『家族の一体感が損なわれる』」という意見がある。

 筆者が思うに、「家族の一体感」というのがそれほど大切なのであれば、夫婦別姓などという、ほんわかした問題よりも、長時間労働を是正する方がよほど「家族の一体感」効果を望めるのではないだろうか。理由は明白で、長時間労働を強いられていた時間を家族と一緒に過ごす時間にまわせるからである。これほど基本的でかつ効果の望めそうな方策もあまりないと思う。

 「家族の一体感」を取り戻したいのであれば、彼らのやるべきことは夫婦別姓などに反対することではなく、まずは長時間労働に反対することなのである。それは長時間労働規制に後ろ向きな経団連や連合といった団体に圧力をかけることなのではないだろうか。日本会議には国会議員の会員も多いと聞く。それなら今こそロビー活動を強め、長時間労働規制に向けた動きを加速させる時なのではないだろうか。

 

 「日本会議 長時間労働」という検索ワードで引いても、今のところそれと思しき記事は残念ながら見当たらない。おそらく彼らが長時間労働という問題にあまり関心がないという証左なのだろうか。だが活動方針にあれこれ問題があるにせよ、日本を変える意思と力があるにもかかわらず、「長時間労働」と「家族の一体感」の関連性に言及してないというのはある意味、怠慢ではないだろうか。もう少し日本の現実を見つめてほしいものである。